ビクトール先生
 
 
校内に授業開始のチャイムが響き渡る。
担任が去った後、一時限目の担当教師が教室に入って来た。その第一声はというと、
 
「元気ですかー!!!」
 
威勢のいい声が教室中に響いた。
 
「元気があれば、何でも出来る!」
 
何処かで聞いたような台詞だが気にしてはいけない。
 
「行くぞー!!!1・2・3・ダ・・・。」
 
テレーズに教職を任された元傭兵隊長ビクトールが続きを言おうとした瞬間、後頭部をハリセンで叩かれた。
 
「痛え!」
 
ビクトールが後ろを振り向くと、呆れたように目を細くしていたあの少年の姿があった。
 
「生徒が教師を殴るとは何事だ!」
「・・・・・。」
「反抗的だなおい。いい度胸じゃないの。」
「・・・・・・。」
「よーし、そんな悪い子にはお仕置きだぞ。」
「・・・・・。」
 
再びビクトールの頭にハリセン攻撃がお見舞いされる。
 
「・・・・・お前、ノリが悪いな。」
「・・・・・。」
「可愛くないぞ。」
「・・・・・どうせガキさ。」
「キャラ被ってるぞ、あれと。」
 
ビクトールは「あれ」を指差した。普段はポーカーフェイスの「あれ」だが、今回は珍しく反応した。
 
「一緒にしないでくれる?クマさん。」
「誰がクマさんだ!・・・・・これ以上反応しても話が進まん。さっさと席に着け。授業やるぞ。」
「・・・・・何の?」
「何のって、決まってるだろ。」
「体育?」
「おうよ。だから5分後にグラウンドに集合!」
 
だそうである。
クマのクマによるクマの為の授業が始まった。
 
 
 
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