シドリル


俺はフェンリル。
実は、ひょんなことから、俺とシドがデートすることになったんだ。
それというのも、例によってヒルダ様の思いつきで始まったんだけど・・・

「よいですか、フェンリル。それにシド。これはわたくしの命令です。これからお2人には1日、いえ、なんなら2日続けてでもいいですから、デートをしていただきます」
「えー!!なんで俺とシドでデートしなきゃなんないんだよ!?」
「こら、フェンリル!ヒルダ様に向かってそのような暴言・・・、口を慎め!」
「まあ、よいのです、ジークフリート・・・・」
「しかし、ヒルダ様・・・・」
「いえ、わたくしのわがままだということは重々承知しています。ですが、これは必要なことなのです。分かってくれますね、フェンリル・・・?」

正直、分からなかったけど、でもヒルダ様の命令なら聞くしかないから、俺も渋々承知した。
で、シドの方は・・・涼しい顔して、全然気にしていないようだったけど、まさか、あんなことになるなんて・・・・

その後、自室に戻った俺に、シドは言った。
「フェンリル、デートのことなんだが・・・・」
「なーんだ、やっぱりシドもデートなんかしたくないよな?」
「いや・・・俺は、お前とデートしてもいいと思っている・・・」
「・・・・・・・・・・え?」
「この際、正直に言おう。俺は、フェンリル、お前と・・・・」
「ちょっ!ちょっと待ってくれよ、シド!いきなりなんのつもりなんだよ!?」
「・・・なにがだ?」
「な!なにがって・・・、いきなり俺の手を取って、キスしながら言う言葉か!?」
「・・・・・・・」

そう、シドはなにをトチ狂ったのか、いきなり俺の手を両手で挟んで擦ったり、その甲にキスしたりしてきたんだ。
しかも冗談とかじゃなくて、その目は真剣そのものだから、さすがの俺もちょっとビビったぜ・・・

「・・・・フェンリル・・・・」
「な・・・なんだよ・・・?
「俺とデートするのは嫌か?」
「え・・・いや・・・別にそういう訳じゃないけど・・・・」

なんか、シドにじっと見つめられると、俺、ドキドキしてくるんだけど・・・・
なんなんだろ、このキモチ・・・・?

「・・・・フェンリル・・・・」
「・・・ん?」
「・・・・キス・・・していいか・・・・?」
「・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・お、落ち着け!俺!
な、なにを動揺しているんだ!
こんなのは冗談に決まってる!
というか、シドが変だぞ!!

「・・・・な?、フェンリル・・・・いいだろ・・・?」
「な・・・なにがいいだろ?なんだよ!?よくねえだろ、シド!!俺たち男同士だぜ!?」
「そんなこと関係ない。俺は、フェンリル、お前に触れてみたいんだ・・・・」
「俺のどこに触れる気だよ!?というか迫ってくるなよ!!」

なぜかシドは妙に真剣な眼差しで、俺に迫ってきた!
一体どうしちゃったんだよ!?シド?
いつものお前らしくないぞ!

「フェンリル・・・・」
「・・・・んっ!?」

とうとう俺はシドに抱きしめられて、そのまま唇を奪われてしまった!
さらに、舌まで入れてくるもんだから、俺もどう対応していいのか分からなかった。
それに・・・・なんだかシドの舌って、柔らかくて気持ちイイんだ・・・・・
俺も、ついウットリしちゃってさ、目なんか瞑って、もうされるがままって感じで、抵抗もできなかった。
それから、惚ける俺から唇を離すと、シドはそのままぎゅって抱きしめてきた。
その人肌の温かいこと・・・・、俺、初めてだ・・・・人肌ってこんなに温かいものなんだな・・・・
でも・・・・なんで・・・・?
なんでシドは、俺に・・・・?

「・・・・シド・・?」
「なにも言うな。しばらくこのままで、いさせてくれ・・・・」

シドは、俺をぎゅって抱きしめたまま・・・、どうしちゃったんだろう・・・シド?

「フェンリル・・・・」
「・・・ん?」
「お前・・・俺のこと、好きか?」
「え!・・・ええと・・・・」

いきなりそんなこと聞かれても困るんだけど・・・・

「俺は、フェンリル・・・・お前のことを、ずっと・・・・・」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、シド!!いきなり俺にキスしたかと思えば、こんどは好きかって聞いたり、なんか今日のシドは変だぞ!なにか悪いものでも食ったのかよ!?」
「いや、俺は真剣だ・・・、真剣にお前のことを・・・・」
「うそだ!俺は人なんか信じない!どうせシドだって俺のこと、散々もてあそんだ挙句、飽きたらボロ雑巾みたいに捨てる気だろう!?俺は騙されないぞ!!」
「い、いや・・・そんなことはしないが・・・・」
「俺は騙されない!人なんか信じるものか!!どうせシドだって甘い言葉で俺をその気にさせて・・・・それから・・・それから・・・・」
「・・・フェンリル・・・」
「なんだよ!」
「俺は、そういうお前が好きなんだ」
「・・・え?」
「そうやって、人に心を開かず、1人でいるお前のことを見ているだけで、俺は辛い・・・・、フェンリル、もし俺でよかったら、俺だけには、お前のその閉じた心を開いてはくれないか・・・?」
「・・・シド・・・・・」
「お前を見てると放っておけないんだ。いつも1人を好んでいるくせに、なぜか寂しそうにしてる。俺には、お前が、本当は人と触れ合いたくて仕方ないんじゃないかと思う・・・・」
「・・・・ふん!いきなりなにを言い出すかと思えばそんなことかよ!?・・・・俺、シドのこと嫌いだ・・・」
「フェンリル?」
「いい加減離せよ!!暑苦しい!!」

俺は、シドの腕の中からスルリと抜け出すと、そのまま部屋を飛び出して行った。
外の夜気に触れると、今までシドに抱きしめられて温かかった体も、そして心も・・・・瞬時に冷え冷えと冷やされていった。
ついでに頭も冷やしたかった。
俺は、シドに抱きしめられたり、キスされたりして、本当は嬉しかったんだ!
こんな俺でも抱きしめてくれたり、キスしてくれたりする人がいてくれて・・・・
でも、どうしても、その想いを疑ってしまう俺もいるわけで・・・・
シドのキモチを疑ってしまった。

俺・・・人として最低なのかな・・・?
人の愛情や温もりさえ、信じられないんだから・・・・
どうしよう・・・ギング?
母様・・・・父様・・・・
俺は人として、この先、生きていけるのでしょうか・・・・?



あとがき

例の話をシド×リルで書こうしましたが、またしても脱線です!
いや、本当になにが書きたかったのか全然分からん小説になってしまいました。
私がフェンリルとシンクロしてしまったばっかりに・・・・
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