バドの冒険


(ケース1:逃亡)
アスガルド紅鯨団

『ちょっと待ったーー!!』
バドの前に、3人の男が立ちはだかった。
『に、兄さん・・・・・俺と、付き合ってください!!』
と、シド。
『バド・・・・私の子供を産んでくれ!!』
と、ジークフリート。
『バド・・・・私に赤ちゃんをはらませて!!』
と、ミーメ。
口々に無茶なことを言う3人に、とうとうバドはキレた。
『お前ら!!言ってることが支離滅裂なんだよっ!!』
そして、一人一人に向かって、ピシャリと言い放つ。
『シド! お前とは兄弟、しかも双子だから付き合うことはできん!!』
『そ、そんな・・・兄さん・・・・』
シドはうなだれた。
『そしてジーク!! 俺は女じゃないんだから子供など産めん!!』
『・・・・・』
ジークフリートは憮然としている。
『それにミーメ!! お前も女じゃないんだから、俺の子供をはらますことはできんだろう!!』
『うう・・・バドぉ・・・』
ミーメは残念そうに唸った。
『ったく、お前ら、揃いも揃って、ナニ馬鹿なこと言ってんだよ!?』
バドはうんざりして嘆いた。
いつもいつもそうだ。なぜかこいつら3人はバドに迫ってくる。
いい加減うんざりしていたバドは、この際はっきりさせようと考えた。
そこで・・・
『いいかお前ら、俺にはすでに好きな奴がいるんだ! だから俺のことは諦めろ! 分かったか!?』
思いがけないバドの告白に、さすがにショックを受ける3人。
『な!?、に、兄さんに、好きな人がいたなんて・・・・!?』
『はじめて聞いたぞ、そんなこと・・・・』
『私のバドを奪うなんて・・・・許せない!!』
一体バドの好きな相手とは誰なのか?

バドは困っていた。
つい、勢いであんなことを言ってしまったが、正直好きな人などいないのだ。
ただ、あの3人から逃れる為についたでまかせだった。

『はぁ・・・つい、あんな嘘ついちまったぜ・・・・どうすっかな?』
そこへ、
『あら、バド、どうしたのですか?そんな溜息などついて・・・』
ヒルダだ。
『あ、いえ・・・・』
バドはあいまいに頷いた。
『なにか困ったことがあるのなら、遠慮せずにわたくしに相談してくださいね』
『は、はい・・・・』
そう言ったものの、こんなこととても相談できることじゃない。
男3人から狙われているなんてことは・・・

『くそ、そもそもなんで俺なんだ?ジークにはシドがいるし、シドもジークがいるだろうによ。ミーメのやつはどうかしらねえけど』
バドは毎日毎日男に迫られる毎日に、正直うんざり気味だった。
この際、どこか遠くへ、そう、あの3人組が来れないほど遠くへ行ってしまいたいとそう思っていた。
そこで出した結論が。
『そうだよな。平和になった今、俺がアスガルドに留まっていなきゃならねえ理由なんかねえんだ。この際本気でどっか別のところにでも行ってくるか?』
と、いうものだった。
こうしてバドは、アスガルドを出る決意をするのだった。


つづく?


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