マッチ売りのミーメ


(逃亡編)

ミーメは今日も1本もマッチが売れないまま、家路に着いたが、案の定オヤジは酒臭い息でミーメを怒鳴り散らした。
『おい、ミーメ!、マッチが1本も売れないとはどういうことだ!?』
『仕方ないだろう・・・・誰も買ってくれなかったんだ』
『そんなの、お前が色仕掛けで客を誘惑して、無理やり買わせればいいだけだろう!』
『・・・父さん・・・前から言おうと思っていたけど、私は男だ!』
実はミーメは男だったのだ!
だが、その類まれなる美しい美貌のおかげか、女装をしても誰もミーメが男だとは思わないだろう。
『そんなこたあ、分かってるわ。』
『知ってたんなら、なぜ私に女装なんかさせたんだよ!?』
『そりゃあ、そっちの方が似合うからに決まってんだろう!?』
『・・・くっ!私は・・・男なのに・・・!!父さんなんか、父さんなんか、大っ嫌いだ!!』
と、なぜかミーメは泣きながら家を飛び出して行ってしまった。
『ちっ、勝手にしろ!』
オヤジも、本当は気になるくせに、知らん振りを決め込んで酒を飲むだけだった。

ミーメは走った。
赤いひらひらスカートが風になびくと、真っ白なパンツが目に眩しい。
が、今は夜なので辺りに誰も通行人の姿はなかった。
ミーメは悔しかった。
いつも自分が女扱いされることが。
義理の父親まで、自分を女扱いして女装までさせていたことが!
(くそ!私は立派な男になってやる!!もう女みたいだなんて言わせない!!見てろよクソオヤジ!!)

そうして、どこまで走っただろうか?
ふと目前に明かりが見えた。
それはどうやら家の窓から洩れている明かりのようだったが。
ミーメは躊躇せずにその家に飛び込んだ。
だが家には誰もいなかった。
ただ、大・中・小の3つのベッドが置いてあるだけで。
走りつかれたミーメは、一番大きなベットに倒れ伏すと、そのまま眠ってしまった。
そこが、誰の家なのかも知らぬままに・・・・


つづく?

あとがき

またしてもひっぱりますね〜
毎度のことながらゴメンなさい。
トップページに戻る